創業60年の専門技術と幅広いプロジェクト実績
大阪市を拠点とする株式会社イオリ建築設計事務所は、創業から60年間にわたり構造設計一筋で歩み続けてきた。病院から商業施設、庁舎、工場まで建築物の種類を選ばず、公共・民間双方の案件に対応している。構造図作成、構造計算、監理業務を自社内で完結させることにより、設計責任の所在を明確化。外部委託に頼らない体制が、品質の一貫性を保つ要因となっている。
大手ゼネコンや建築設計事務所からの継続発注が事業の核を成しており、長期にわたる信頼関係がプロジェクトの安定供給につながっている。文化財修復という特殊分野での実績も有し、歴史的建造物の構造診断から補強計画まで手がけた経験を持つ。こうした多彩な案件への対応力が、設計者個人のスキル向上にも直結していると感じる利用者の声も聞かれる。
耐震診断技術と現地対応力の蓄積
既存建物の耐震診断・補強設計では、図面だけでは読み取れない現場の状況判断が重要となる。同社の設計者は現地調査から始まり、建物の劣化状況や構造的特徴を直接確認しながら補強計画を立案する。理論と実践の両面からアプローチすることで、机上の計算だけでは得られない構造設計者としての感覚を養っている。特に古い建物では、当時の施工方法や材料特性を理解した上での対応が必要となる。
「現場を見る目が確実に変わった」という設計者の証言もあり、多様な建築物に触れることで得られる経験値の高さがうかがえる。文化財案件では保存と安全性の両立という難しいバランスが求められるが、そうした制約の中での設計対応が技術者としての幅を広げている。
設計品質を支える労働環境の整備
年間休日120日以上、土日祝日休みという休暇制度に加え、個人の生活スタイルに応じた出勤時間の調整を認めている。設計業務は集中力を要する作業が中心となるため、精神的な安定が作業効率に直結する。自由度の高い勤務体系により、設計者が最も集中できる時間帯での業務遂行が可能となっている。
正直なところ、建築設計業界では長時間労働が常態化している事務所も少なくない中で、同社の働き方改革への取り組みは際立っている。
継承される技術力と新たな挑戦への姿勢
60年という長期にわたる事業継続の背景には、構造設計技術の着実な継承システムがある。先輩設計者から後輩への技術移転を重視し、計算ソフトの操作方法だけでなく、構造判断の考え方そのものを伝授する体制を構築している。経営基盤の安定により、短期的な利益追求ではなく長期的な技術向上に注力できる環境が整っている。
時代とともに変化する建築基準や新材料への対応も怠らず、既存技術に固執しない柔軟性を保持している。「伝統と革新のバランスが絶妙」という取引先からの評価が、同社の技術的立ち位置を物語っている。構造設計者としてのプロ意識を育む土壌が、長年の実績とともに形成されている。


