特許技術と受賞歴が積み上げた、製品への確信
石貼り浴槽の構造と排水設計について2024年11月に特許を取得(特許第7586476号)したWABUROは、その直前の同年に第20回ステンレス協会賞の優秀賞も受賞している。技術面と審美面の両方を外部機関に認められた形で、2025年のCOOL JAPAN AWARD受賞(PM-LINE MAISON)がさらにそこに加わった。1995年の実用新案登録(濾過装置)、2002年の「選美槽」商標登録と、知財の積み上げはブランドの歴史と並走している。
「受賞製品がショールームに展示してあり、実物で確認できたのが決め手だった」という施主の声がある。賞歴はカタログ上の数字に終わらず、ショールームで実物として確かめられる環境がセットで機能している点が、このブランドの強みだと思う。
平田タイル・SANEI・KOHLERとの協業が示す、素材哲学の深さ
WABUROが協業を選ぶ相手は、タイル専門メーカー(株式会社平田タイル)、水栓メーカー(SANEI)、高級衛生陶器ブランド(KOHLER)と、浴室を構成する各要素の専門企業だ。単に有名ブランドと組むのではなく、浴室空間を構成する素材・設備の各層で最適な相手を選んでいる。隈研吾氏との「WABURO KUMA」は、空間設計の思想そのものを取り込んだ事例として際立っている。
2021年の「WABURO Premier SH collection」(平田タイル・SANEI共同)では、タイルと水栓の組み合わせを最初から設計した空間提案型の製品になっている。バラバラに選ぶのではなく、空間として完成した状態で提案するスタイルは、設計士や建築家が採用を検討しやすい形だ。
「和の美学」を3000字に凝縮したブランドコンセプト
WABUROのブランドページに記された言葉は短いが、「Harmony(調和)」「Authenticity(本物感)」「Retreat(非日常)」の3軸をそれぞれ具体的な空間体験に結びつけて説明している。「目に映る景色や光、素材のバランスまで計算され」という記述は、見た目の美しさだけでなく光の入り方や素材の組み合わせまで設計の対象とする思想を示す。〝湯浴み〟という日本語を意図的に選んでいることも、バスタイムではなく文化体験として位置づける意志の表れだ。
施工事例にはホテル・旅館だけでなく、個人邸(K様邸新築計画)も含まれており、業務用と住宅用を横断する設計思想の実践例として読むことができる。「ホテルで使って感動し、自宅のリフォームでWABUROを指名した」という声は、この横断性が生む副産物だ。
南麻布ショールームと伊東工場、ブランドの両極
製品の顔であるWABURO TOKYO SHOWROOMは、2025年12月にリニューアルオープンした南麻布の完全予約制施設。訪問者に石貼り浴槽の質感・空間スケール・素材の組み合わせを実体験させる場として機能している。一方、製品の核は静岡県伊東市の自社工場(3,300㎡)にあり、1997年の設立から拡張を経て現在の規模に至った。
「ショールームでの対応が丁寧で、工場見学の話が出たときには驚いた」というエピソードもある。製造現場と販売最前線がワンブランドの下につながっている構造は、問い合わせから納品後のサポートまで情報が切れにくい環境を作る。カタログダウンロード・見積りシミュレーション・資料請求とウェブ経由の接点を整備しつつ、最後はショールームの実体験で完結する設計は、製品の特性に合った購買体験の組み立て方だ。


