注文ごとに一から描き起こす装置
汎用の機械を並べて売るのではなく、依頼された現場の条件に合わせて一台ずつ図面を引く。(有)松岡製作所の仕事は、この点で他の設備販売とはっきり性格が異なる。手がけるのは食品や医薬品、日用品を包むための包装機械で、包む対象やラインの構成が工場ごとに違うため、装置もそのつど新しく設計される。同じ型を量産する道ではなく、一品物と向き合う道を選んできた会社だ。
現場の広さ、扱う商品の形、必要な処理の速さ。こうした条件を読み取ったうえで、その工程専用の機械を組み上げる。汎用機に商品を無理やり合わせるより、商品に機械を寄せていくほうが工程にすっきり収まる。だからこそ、既製品では手が届かない要望を抱えた現場が(有)松岡製作所を頼ってくる。
精度を支える金属加工とマシニングセンター
装置の骨格をなす金属部品は、鉄やステンレスなどを工作機械で削り出してつくられる。素材を削り、穴を通し、ネジを刻む加工にはマシニングセンターなどの機器が使われ、寸法のわずかなずれが噛み合わせの不具合を招く。部品一つの精度が装置全体の動きを決めるため、削りの一工程ごとに寸法を確かめながら進める。
図面という平面の数値を、動く立体へと起こしていく作業には、機械任せにできない読みと勘が要る。取材の場で個人的に感心したのは、ミクロン単位の狂いを黙々と詰めていく手仕事の緻密さだった。長く現場に立ってきた職人の感覚が、一品物の完成度を陰で握っている。
包む対象が変われば必要な精度も変わるため、加工の基準もそのつど見直される。定型の反復では済まない難しさが、この仕事の奥行きになっている。専用設計と高い加工精度が組み合わさって、はじめて現場にぴたりと収まる装置ができあがる。
一貫体制と受け継がれる技術
設計から金属の切削、部品の組み立て、動作の最終調整まで、(有)松岡製作所は全工程を社内でまかなう。工程を外に出さない分、途中の仕様変更にもその場で連携して対処でき、納めた後の手直しにも素早く動ける。この体制は、代表取締役の松岡淳一のもとで60年以上かけて築かれてきたものだ。半世紀を超える金属加工の技を絶やさぬよう、加工職人と組立職人を正社員で迎え、未経験からマシニングセンターを扱えるまで育てている。工場は草加市柳島町、バス停から徒歩3分ほどで交通費は全額支給、8時から17時勤務・土日祝休みの週休2日制が整えられている。


